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霧の万年床〜楠 均のBGM日記

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      2007年08月15日

      8月4日 

      遠軽を発って滝上、という町に向かう。車で2時間弱。2つの町は近いと言えば近いし、同じような所だと思っていた。行ってみると違う。平地の遠軽に比べ、低いけれど広大な山の中にある町と言っていい。樹木の相が変わり緑の表情が険しくなる。モラトリアムな三男坊というヤワな感じはもはやない。そこら中に熊がいると言われれば簡単に信じるだろう。

      TVで見た陽殖園に行く。庭園・植物園と言って間違いはないけれど、かなり変わっている。全体が小山になっている。その入口で、こんにちは、と声をかけると小柄な男の人が一人、里によく出入りする小型の野生動物のような表情で現れる。男の人はお名前を武一さんとおっしゃる。500円払って武一さんから熊除けの鈴を受け取る。(注意書きに、動物からは自分で身を守って下さい、と書いてある。)園内に足を踏み入れると、見慣れない色鮮やかな花が生き生きと雑然と咲いている。雑草がウッソーと(言いたいくらい)生えている。雑草と見えるものも季節が来ると花をつけるのかもしれない。或いは雑草を雑草としてわざわざ手植えしたのかもしれない。そのあたり計り知れない。何しろこの武一さんは、中学生の時から町で種苗を売り歩き、空いた時間にひたすら家の裏山に花を植え、木を植え、池を掘り、小道をつけ、気がつけば50年近く経っていたという人で、何というか、尋常ではない。野生動物のように見えるのは、何から何まで自分で面倒みてる人特有のクールさというものだろうか。植物に対してもクールで水や肥料はやらない。その場所その場所に適した花が勝手に繁栄するらしい。明らかに自然とは違うけれど何かの間違いでそんな景観が出現したのだと言われれば素人の僕は簡単に信じるだろう。ご本人曰く「自然風庭園」というのが可笑しい。駅前食堂の「洋風刺身定食」みたいなものだろうか。(そんなのがあるかどうか知らないけど。)松並木や杉林と名付けられたコースもある。その奥に広がっているだろう北国の山林の恐ろしさが、つい洩れ出して漂っている。巨大なアブがつきまとう。この場合ももちろん自分で身を守らねばならないだろう。アブに追われるように入口に戻って来たら武一さんは「まだ2時間もたってないよ」と不満げな御様子。「1人3つまで」と言われ、何かと思ったら目の前に大きな赤いグミがなっている。もいで口に放り込む。うまい・・・。お元気で、と声を掛けると「150まで生きないと完成しないからさ」と真顔でおっしゃった。

      ここ陽殖園には、自然と人間の交渉の妙があるのではないだろうか。万物に対して(慎重且つ正直な)交渉の意志を持て、と言われている気がする。それでこそ妙な(すてきな)ものが生まれる、と言われている気もする。社交と交渉ごと全般をおろそかにして来た我が身を反省したい気もする、ああ。閉じて居直ってはいけないよと。でも、とりあえず暑い夏が終わってからにしたい気もする。

      | Posted By XNOX クスノキス 投稿日: 2007年8月15日 13時27分 更新日: 2007年8月15日 13時47分

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