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霧の万年床〜楠 均のBGM日記2007/2 | ||||||
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庭園美術館併設の祝宴場。昭和の気品が香る。遊佐未森さんの桃の節句恒例女性限定ライブ。たとえどんなに苦しい時でも、きっと本番にはフォースを全開するジェダイミモリのヨーダ的メソッドをなんとかして盗みたいと10年かれこれ。データは揃っているのだが・・・。(長女である、とか。)この日は調子もよろしく、フォース爛漫に花開く。いやが上にも盛り上がる。
ゲストの堂島孝平さんは僕の息子ほどの年齢だが、身長は僕と等しく、年齢差を感じさせない思いやりのある方。ルークのように歯切れがいい。こんなにポップな人がいるのか。
ギターの西ちゃん、巨大なティンカーベルのごとき妖精ぶりにますます磨きがかかり、髭はますます濃い。目を離すとすっと消えて、次元の隙間に挟まって手足をバタバタさせている。ハエみたいに。ファンタスティック。ブルーグラスのレコードいっぱい借りた。ジャケットで見るかぎり妖精ではなく変態のような人が多い。シベリアの森に住み、森に入ってくる子供たちを片っ端から食べていた鬼がいた。鬼は妖精の一種か。それのアパラチア版みたいな感じのじいさんがバンジョー抱えて歌う。とりあえずイメージには目をつぶり、音楽に耳を傾けるとしよう。
マイワイフ&サン、アルフレッド・ウォリスという英国の妖精じいさんの展覧会を見て来たと。じいさん若い頃船乗りで、70歳を過ぎて絵描きになったという。絵本で見た引退した船長さんの幸福で立派な貫禄を想像したが、乗っていたのは小さな漁船で貧乏で孤独だったらしい。絵は稚拙で自分が思い出せるかぎりの風景をキャンバスに、ではなく厚紙や板きれにとても丁寧に描いたと。子供の絵のようだけど、経験が生きている。自分の手に届くだけのことを精魂傾けて毎日続けるというのはフツーにはできない。妖精並みでないと。
新居昭乃さんのコンサートを拝見する。びっくり、すごい。時の経つのを忘れる。あんなの見たことがない。アキノさんの脳ミソが全開している。たゆまず為されているのだとつくづく知らされる。(アキノちゃん、お渡ししたチョコは世界一と放言したけれど、僕は名前も知らなけりゃなめたこともないんですー。)
初対面のベーシストBちゃんはカナダの北極圏生まれ。おお、お互い北国生まれ、仲良くやろうぜ。俺っちは自分より寒いところで育ったミュージシャンに会ったことがないもんで、いつも寂しく思っていたよ。ところで俺っちの生まれたところは○Xといってアイヌ語でナンチャラいう意味だぜ、どうだすごいだろう。と言うとBちゃんは、ワラシの生まれたところは△Xといってイヌイット語でナンチャラれーす、と返す。いいねえ、やるじゃないかB。それでは俺っちの経験した最低気温を特別に教えてあげよう。ウソハッタリはなし、正真正銘額面通り、これよりマケたら儲けはなし。零下32度!どうだ参ったか持ってけどロボー。するとBちゃん、ワラシの生まれた時の気温は零下70度れしたー、と涼しげにのたまわれましたので、そろそろお開きにしますか。世界は広い。悔しさで演奏に身が入らず。しかし演奏しながら考えた。「華氏ってことがあるよな?でも華氏って何だ?」
体調躍進するも薬疹発生。あの抗生物質のヤローだ。テメー、この。なまけものとして尊敬申し上げる北杜夫氏は躁鬱病らしい。おっとりしたおとなしい絶滅危惧動物のようなお人柄が躁状態になると一転、テメーこのヤロー、とお叫びになるらしい。押し入れの中で長生きしてほしい。
慣れないスイングする仕事のために、ブラシをどう使ったらスイングするのか研究して出かける。右手でテンテン、左でシャー。多分みんなこうしてるんじゃないかなというところまで嗅ぎつけた! 意外と簡単だ。すごいマジックって意外にタネはシンプルだったりする。ブラシさばきは人体の動きの癖に沿った極めて合理的なものだと推測される。きっとバットスイングも、走法も奏法も、双方とも。なるほどねえと感心しきり。(全然間違ってるかもしれないけど) そして現場ではすべる。コツがわかっただけではだめで、いかに自然な動きだといってもそれを歩くほど繰り返さないとものにはならないのだと知る。感心するのは得意だが繰り返すのは苦手という人は上達しない。神様、抜け道を教えて。
こう毎日熱が上下するんじゃ商売上がったり下がったりでぇい。という訳で医者へ。春は魔物だ見た目はやさしいが身も心も翻弄されてひどい目に遭う。春にはドアも窓も固く閉ざして、ももひきの紐を固く締め上げて、偏屈じじいになってぶつぶつと世間に悪態付きながら熱く湧かしたロシアンティーのジャムをけちる、犬にも煮干しをあげない、そういう人に私はなりたい。そう思って一歩外に足を踏み出した途端、やわらかい風になぶられる。奇跡的な心持ちになる。ももひきは脱ぎ捨てて、犬には鰹の頭くらいくれてやろうじゃないか。
やれやれという訳で、風邪ひきのおっさんでいっぱいの陰気な待合室。ちょっとちょっと、コホコホ言わないでくれませんか。とコホコホしながら言う。ここに来る楽しみは土屋教授という人のばかばかしいエッセイを読むこと(たぶん週刊文春)。どこで何の教授をしているのか知らないけど、偽悪的な屁理屈小理屈満載ですごく趣味が合う。というか師匠と呼んでも支障ないくらい。マスク着用のままクツクツ笑って受付の女性に軽蔑される。お医者には、インフルエンザだったかもね、などと言われ、エッ?!「今さら飲んでもしょうがないからタミフルはあげないけどさ」「こちとら2階から飛び降りて怪我するのはごめんだい」
コメント
かわりに妻が魔女ですが