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recommuni四方山話

カテゴリー「発見」

2007年 08月 19日

手作りスピーカー試聴の会 その2 [発見]

手作りスピーカー名人の話は以前書いたけど(http://recommuni.jp/home/news.php?C=7&CN=56949)、そのHさんが今度は10cmフルレンジのバックロードホーンタイプを作ったと言うので、またご自宅までAさんと押しかけた。今回は自分が愛聴しているCDもいくつか持参した。

※写真、Hさんのブログから勝手にお借りしました。悪しからず。

予想通りと言うか、8.5cmと16cmの中間、つまり8.5cmが持つ中域のハリと繊細さと、16cmが持つレンジ感とスケール感をそれぞれにある程度受け継ぎ、全体としてバランス的にはとってもいい感じ。おそらく聴き比べるのでなく、この10cmが一発どんとあって聴いている分には何の問題もなく素晴らしい!の一言だろう。

で、今回もいろいろ驚きの発見があった。

まず自分が制作に立ち会い、どちらも音を気に入っている「小川美潮/4 to 3」、「遊佐未森/空耳の丘」をそれぞれ聴かせてもらった。「4 to 3」はベースを中心とする低音楽器がすごく鳴る。16cmだとすごい。ウチのステレオではここまでの低域は再生しきれていなかった。でそれに負けないヴォーカル。これにはHさんも「こんな音源聴いたことないですよ」とびっくりしていた。ものすごい音の情報量。こんな音をミックスしてくれていたミキシング・エンジニアの河合十里さんに改めて脱帽。でもこれを再生できる装置はなかなかないわ。

逆に、ウチのステレオではいちばんいい音に聴こえる「空耳の丘」が、16cmでも10cmでも重低域があまりなくて、中域に音が集まり過ぎているように感じた。

やはりヴォーカルとかストリングスや木管、中域のニュアンス、色気のようなものは8.5cmがいちばんのようで、Aさんの好きなオペラや小編成のクラシックものは8.5cmが合う。と言うよりAさんはHさん制作の別の8.5cmのスピーカーを自宅に持っているので、逆にそういうものにより趣向が傾いているのかもしれない。

10cmはそれに比べると、ヴォーカルなど若干固めになる。よく言えばシャキッとしている。スピーカーができて間がないからかもしれない。

で、前回ボクは16cmに惚れたんだが、今回は10cmを試聴するというのと、もうひとつ、実は、前回8.5cmは製作時の工程的にスピーカー取り付けのネジを締め切ってない段階のままHさんが忘れていて、それを聴いていたのが発覚。きちんと締めたらやはり全然違ったとのことで、その8.5cmリベンジも目的だったのだ。

確かに、8.5cm、前回よりは断然低音の締まりが違う。

Aさんが現在の女性オペラ歌手の第一人者(名前忘れちゃった)という美人シンガーのSACDを買ってきていて、「やっぱりSACDいいわー」と連発。確かにSACDだと音の空間の上がスコンと広がる感じ。空気を感じると言うか。でもしばらくしてHさんがアンプをトランジスタのものに切り替えると、「あれ?これだとウチでCD聴いてる感じになるな」とAさん。前回からそうだけど、アンプはやっぱり真空管!が3人の共通見解。特性はあきらかにトランジスタが上なのにね。

しかし前回惚れ込んだ16cmが、ちょっと何かバランス悪い気がしていた。低音の情報量は問題ないが、中域がかなりへこんで聴こえる。で、高域、シンバルやハイハットの音がきつめに聴こえる。こんなんだっけ?とHさんに「16cmは前回から何か変えました?」と訊いたら何も、と。しかしそこは名人。ひょっとしたら、とトゥイーターの位置を5mmばかり後ろにずらした。トゥイーターは上に乗せてあるだけなので簡単に動かせるのだ。

そうしたら、立ち所にボクの不満は解消された。Hさん曰く、スピーカーがエイジングされてこなれてきた分、トゥイーターの音が耳に届くのが早くなって位相のずれが生じていたとのこと。だから高域がきつめで、その分中域がへこんでいたのだ!

それが、なんと5mm!5mmの差でこんなに音が変わるの?ってくらい変わる。

電車の中でAさんと計算してみた。

高域の音を、まあ15kHzと考えて、そうするとその周波数の波の1周期、山から山までは15,000分の1秒。

音の速さは1秒間に340m=340,000mmだから、

340,000÷15,000で22.7mmが山から山への距離ということになる。

つまりトゥイーターの位置を5mmずらせば、波が4分の1ほどずれることになるので、位相が変わるということになる。5mmでも大きな違いがあるということが納得できた。逆に2cmもずらせば、ちょうど1周期ずれるので、音は変わらないことになる(って勝手に納得してるけど、物理は得意じゃないので間違ってたらゴメン)。

音は面白い。そして、自分が制作に参加した作品、つまり何度も何度も聴いているはずの音源にまだ未知の魅力が隠れていることに畏敬すら覚える。

と言うか、せっかく作ったんだからこういう音で聴かないと損だし、こういう音でなるべく多くの人に聴かせてあげたいな。下手すると(いや普通にしてると)、一生聴かないままで終わるよね。

| Posted By 福 投稿日: 2007年8月19日 11時44分 更新日: 2007年8月19日 11時55分

コメント

行けなくて残念です。
早く聴きに行きたいです。
(でも、音の違いがわからなかったらどうしよう・・)
by かたおかいくお - 2007年8月20日 14時27分
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2007年 05月 03日

大試聴会 [発見]

以前Aさんのウチで長岡鉄男さん設計の手作りスピーカーを聴いた話を書いた(http://recommuni.jp/home/news.php?C=7&CN=54467)が、それを作ったHさんに、昨日Aさんに連れられて、初めてお会いしに行った。

日本橋にあるHさんの会社は、「カバンの中身」(http://www.kabannonakami.com/)という、カバンに入れて小物なんかをうまく整理するツールの製造・販売を行っている。それと携帯で(今のところauだけ)「少年@時代」という「昭和レトロゲーム」のサイトを運営している。一見、まったくかけ離れた二つの仕事だが、両方ともHさんの一生懸命な気持ちがひしひし伝わってくるというところが共通点。

この人があのスピーカーを作ってるんだ。仕事も趣味も「モノ作りへの徹底的なこだわり」という1本の直線で貫かれている。こういう人はなかなかいない。

そしてものすごい気さくな人で、初対面なのに、連休だしってことで、まだ明るい時間だったんだけど、いきなりHさんの埼玉のご自宅までスピーカーを聴きに行くことになった。

ご自宅のリスニングルームには、8.5cmのスピーカー1発のバックロードホーン&トールボーイタイプのもの、16cm+トゥイーターのやはりバックロードホーン型、10cmくらいのスピーカー低音用×2、高音用×2の片側計4発を組み合わせた小型スピーカー、と3セットのスピーカー群が林立し、壮観である。いずれも手作りとは思えない、ものすごくきれいな仕上げでオーディオショップの高級オーディオコーナーに並んでいても遜色ないだろう。棚にはアンプやらプレイヤーなどのオーディオ機器が並ぶ。中でも目を引くのが真空管アンプだ。この真空管アンプも手作りで、ただHさん自身ではなくネットオークションで知り合った人にお願いしてほとんど実費で作ってもらったそうだ。

ともかく音出し開始だ。Hさんはドーナツ盤レコードもたくさん持っていて、ビートルズやストーンズ、ベンチャーズ、アストロノーツ、加山雄三から岩崎宏美、バーブ佐竹まで、1枚370円の時代のものからあって、これもすごいコレクション。だもんで、聴くのもクラシックから演歌まで、ドーナツ盤からSACDまでと、まったく支離滅裂な選択で、これもボクも好きなやり方。

音はもちろんよくていろんな発見があって、書き出すと長ーくなるので省略するが、特に驚いたのが、まず真空管アンプのよさ。見た目だけで好感を持ってしまうのだが、HさんはちゃんとCROWNのトランジスターのパワーアンプも持っていてそれと聴き比べたんだけど、真空管のほうが、見た目通りの暖かさというか、音に弾力が出て生き生きする。もちろん真空管なら何でもいいわけじゃないだろうし、トランジスターでもいろいろあるだろうけど。

それとさらに驚いたのが、バッテリー駆動のすごさ。何のことかと言うと、アンプでもプレーヤーでもそうだけど、電源はACつまり交流だけど実際使うのは直流なので、どれもトランスとコンデンサーを使って直流音源を作ることをしなければならない。ところが交流というのは長い送電線を伝って家庭までやってくるので、ノイズとかいろんな不純物?にまみれているらしい。なので電池とか直接直流で動かすと不純物がないので音にもよい、ということなのだが、はっきり言ってそんなこと、ボクは迷信とまでは言わないまでも、オーディオ評論家の大げさなモノ言いで、あるにしても僅かなことだと思っていた。で、Hさんの使っているテクニクスのプリアンプは、高価なものじゃないらしいが、バッテリーを充電してそれで駆動することができる機能がある。それをONして、つまりプリアンプだけ直流駆動に切り替えたところ、音がほんとに変わった。

澄み切った音と言うのか、ともかく音の鮮度がぐぐっと増して、めちゃくちゃきれいになったのだ。え!?Aさんとボクは思わず無言で目を合わせてしまったが、なんかね、これだ!これがホントの音の神髄だって感じ。

これはマジでヤバいです。音楽がよければ音質なんて関係ないよ、って言う人もいるし、今の若者はiPodや携帯の着うたの音質で何の不満も感じていないと言うけれど、いい音で音楽を聴くということがどんなに楽しいか、またどんなにだいじか、知らない人が多すぎると思う。それを何とかしたい。

何ができるだろうかというと、やはり前から構想している「音楽カフェ」を作って少しずつでもお客さんにいい音を提供していくしかないかな。がんばるかー。

| Posted By 福 投稿日: 2007年5月3日 16時39分 更新日: 2007年5月3日 16時39分

コメント

> 前から構想している「音楽カフェ」

このネタにたどり着きましたか!!!
by 松島玉三郎 - 2007年5月4日 22時9分
マニアの方々は電源を清流するとか言いますけど、ホントなんですねぇ。
何でも医療用に安定させるコンセントとかいうものがあって、BBさんが家中のコンセントをそれに替えたとか、昔日記に書いてたような気がします。
それだけで全然違うみたいなこと。

そういう明らかに違うということを聞き比べられる音楽サロンがあったら行ってみたいですねぇ。
いいオーディオだと音が3次元として認識できるって言いますもんね。
私が聞いてる音なんて2次元のペラペラなスクリーンみたいなモノなんでしょうね。
by poli - 2007年5月13日 10時2分
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2007年 01月 28日

手作りスピーカー [発見]

Aさんのところにちょっとモノを借りに行ったのだが、ついでに彼が友人からもらったという手作りのスピーカーを拝聴した。

その「友人」が手ずから作ったもので、基本はスワンで有名な故長岡鉄男氏の設計とのこと。

長岡さんの考え方は、トゥイーターやウーハーなどいくつかのスピーカーに周波数帯域を分担させるより、ほんとはひとつのスピーカーで鳴らすほうがよい、というもの。ただそれだけだと、やはり低音が不足してしまうのでそれを補う工夫が必要ということで、バックロードホーンという、スピーカーの背面に出る音をスピーカーのハコを利用したホーン状の構造で増強し、ウーハーを使ったのと同じような低音を出そうとするタイプのスピーカーをずいぶん設計された。

Aさんのところにあったのもわずか直径8cmちょっとの小さなスピーカーがバックロードホーン形式のハコにおさまっているタイプ。

ボクも長岡さんの本はずいぶん読み、普通のハコのスピーカーを作ったりはしたけど、バックロードホーンは手間がたいへんなのでそこまではいけず、従ってその音をかつて聴いたことがなかった。

で、聴かせてもらったら、これが確かによい!

クラシックからカーペンターズ、GONTITIといくつか聴いたんだけど、もちろん8cmのスピーカー一発だけとはとても思えないしっかりと豊かな低音は驚きなんだが、それだけでなく、各楽器の音が艶やかに豊かに明るく聴こえる。楽器の音色って倍音の構成で決まるなんて言うけど、倍音がたくさん聴こえて、各楽器がその理想の音色で鳴っているような、そんな感じがした。

ウチのステレオもそれなりにいい音はしていると思っているんだけど、これに較べると硬いと言うか、リファレンス・モニターのようなマジメな音に思えてくる。

この手作りスピーカーの音は楽しい。いろんな音楽を聴いてみたいなと思った。

ヒマはないけど、作ってみようかなぁ。

| Posted By 福 投稿日: 2007年1月28日 1時40分 更新日: 2007年1月28日 1時53分

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2006年 09月 08日

変わり種郵便ポスト [発見]

品川駅はポストも電車でしたー。

| Posted By 福 投稿日: 2006年9月8日 21時37分 更新日: 2006年9月8日 22時41分

コメント

東海道線ですね。
品川駅たまに使うのですが京急から山の手の乗り換えとか新幹線に乗り換えしかしないから気がつかなかった。
どこらへんにあるのですか?
by いけ - 2006年9月9日 0時31分
どこらへんって説明しにくいんだけど、いろんなお店が並んでいる改札階の、改札口の近くだよ。
by 福 - 2006年9月9日 11時24分
なかなか、かわいいポストじゃん! これはアイデアですね! 福ちゃん!久々にカキコに来たよ! へへへ。。どうよ?最近
by ボブ - 2006年9月9日 14時26分
お、ボブさん、突然来ましたね。
相変わらず元気そうだねー。

最近はこれに感動しました。
http://www.youtube.com/watch?v=GUepWzxxoSk
by 福 - 2006年9月11日 12時25分
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