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霧の万年床〜楠 均のBGM日記2005/11 | ||||||
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12月3日は青山円形劇場で、高泉淳子さんが
中心となった芝居と歌のショー「アラカルト」を
見た。
ローリー寺西さんのライブでご一緒した
バイオリンの中西俊博さんがこのショーの音楽監督を
しているということもあり、お招ばれした。
水も漏らさぬ完璧なショーだった。
芝居の世界の人はおそろしい。
まずその肉体、技の究め方がおそろしい。
その肉体と技があって初めて、練りに練った
脚本・構成・演出が最大の効果で実現する。
そのために役者はもとよりすべてのスタッフが
できるかぎりの準備をする。
爪の垢ほどもおろそかにしない。
そして動員のための努力も最大限する。
そしてそれが当然のこととなっている。
自己顕示欲の固まりでなまけもので、
おおかた内弁慶でチームプレーの苦手なガキどもが
デカくなったに過ぎないミュージシャン(もちろん
例外も多い)の側から見ると、まさに別世界である。
爪の垢にあやかりたい。(しかし無理だ!)
翌日は駒場東大のアゴラ劇場で、
青年団の「砂と兵隊」を見た。
砂しかない灼熱の砂漠(砂漠なのだから砂しかない
のは当然か)を行進し続ける兵隊と、新婚旅行の
カップルと、母親捜しの一家と、日傘をさした
謎の女一名。
とんちんかんな会話に大笑いしながらやがて灼熱に
頭をやられ、ここがどこだか今がいつだか誰が誰だか
わからなくなる。
堂々巡りの行進は始まりも終わりも欠いたひとつの
円環の上で現実味を失っていく。
暑さのせいで滲み出していた汗が、いつか不安と後悔
のための特殊な粘性のある汗に転化していく。
そしてやがて背骨のあたりが寒くなる。
子供の頃に繰り返し見た悪夢を思い出す。
僕が青年団を知るきっかけになったのは、
青年団の役者でもあるひらたよーこさんの
音楽ユニット「あなんじゅぱす」に参加したこと。
よーこさんの音楽は天衣無縫を地でいく
無敵なものである。
そのピアノとのどから音楽が滾々と湧き出で、
正岡子規や中也や谷川俊太郎といった人たちの詩が
まったく新しい乗り物に乗って縦横駆け巡る趣き。
来春は平田オリザさん演出で「んぐまーま」という
演目が予定されている。
今から楽しみ。
コメント
未完成であり続けることもまた大切なのではないかと思います。
人間というものは気を抜くとすぐに成熟してしまいますが、
この気の抜けた成熟というものはなかなかにやっかいな
ものであると、近頃とみに痛感しております。
その通りだと思います。
何が完璧なのか?
いかにして完璧の手前で踏みとどまるか?
考察に値する問題ですよね。
leteでのライブの見事な要約を読んで、
なるほどそうだったのかと納得したり、
へえーと驚いたりしました。
(自分でやったのに)
会場でタムタムメインの楠PLAYを堪能したあと
オイラの黙っちゃう歌の話し聴いたって言ってました
なんなんだろう。って書いてて、いまわかった(笑)
サイレントソングのことか。
もー、彼もオイラに負けず劣らず難解な例えを使うなぁ
もう今年12回目の月末なんですねぇ。しみじみ..。
毎年夫と2人で観るんですが、
今年はどうしてもチケットが入手できなかったので、
大阪まで観に行くことになりました。とほほほ。
サイレント・ソングのお話、とても懐かしかったです。