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霧の万年床〜楠 均のBGM日記2007/4 | ||||||
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暦を見ればもう夏立ち。外はまるで夏だし。黄砂花粉、また会う日までこうさか君。窓開け放し、風びゅうびゅう入れる。風とともにさるが去りぬ。代わって子バエ来たる。ゴリラの鼻くそみたいな親バエも来る。コウモリ、雀、鶯来る。焼き鳥の煙、ペリカン、ラドン来る。プラトン天ぷら丼食う。
コーヒーをカップになみなみついで正午までかけてちびちびと舐める。コーヒーに白いものが数片浮かんでいる。フケにしては大きい。見るとこでまりの花びら。町中のこでまりというこでまりが何日もかけて散り続けているのが、風に乗って空から降ってくる。コーヒーと言わず、みそ汁と言わず、風呂と言わずプールと言わずありとあらゆる水面にこでまりの白い花びら。ああそうだよ、小出真理との素泊まりの旅。おいで真理。だがその肩に白いフケ。すると小田真理子が現れて。お黙りこでまり。
仏大統領選におけるテレビ討論会にて。
サルコジの猿も誇示するその指に
噛み付くバトルロワイヤル怒るとコワイアル
文句なしのお天気。こんな日に部屋にこもっているのは文句なしの愚か者。でも世の人々が季節に浮かれ、文句なしの生命讃歌を歌い上げるこのような日こそ河原乞食は立てこもって陰々滅々と文句だらけの企みに没頭する。という訳で、雨戸を締め切った真っ暗な部屋に河原で拾ったシンセを並べ、ろうそく一本灯して曲作りに励む。ところが何をやっても不思議に的外れで、無闇に高揚するあの瞬間が一向に訪れない。どうしたことだろう。そこで調律の狂ったギターを手に小さい声で呪いのように呻いてみた。お、まるでベッ君が乗り移ったかのような鼻声がいかしてる。花粉症も悪くない。悦に入ってムームー唸っていると、Wが障子紙の破れ目から片目だけのぞかせて「具合でも悪いの?」と声をかける。「いやいや、新曲だよ。ムームームー、ほらベッ君みたいだろ?」と僕が言うと、障子の穴の目は見開かれたまま暫く無言でいてそれから何事もないように消えた。どーとゆーことはない。高揚感がないからといって、他人に褒められないからといって別にどーとゆーことはない。むしろ気分転換になる。のべつ無闇に高揚していたら気が狂ってしまうし、心臓にも悪い。褒められてばかりでは人生退屈なばかりだ。それに他人は自分の都合でものを言うだけで、芸術の真の価値に気付くのはいつも死んでからなのだし。だからどーとゆーことはない。どーとゆーこともないが休憩も悪くない。そう思って一歩部屋の外へ出てその明るさにのけぞる。目玉親父もひるむ。雪目なのだ。Wは出かけるらしい。広尾で定期検診という。「サングラスがないと歩けないよ」と目玉が言うと別についてこなくていいと言う。それはそうだろうが何かあったら妻を励ますのが目玉親父の役割だろう。股引脱いでよそ行きに着替えて外に飛び出す。わーやっぱり外はいいな。目玉親父跳ねる。玄関先で期待に目を輝かせた犬がアハアハ舌を出して喘いでいる。ざんねん!君はお留守番ね。こんな日に屋内にこもって仕事をしている気の毒な人々のことを思いアハアハ笑いが止まらない。
広尾というのは縁のない土地で都内の知らないところを歩くという観光気分。商店街も裏道も面白い。寺が多い、坂も多い。Wの検診のことは忘れて親父すっかり日に焼けた。やー晩飯がうまいぞ。今夜のおかずは目玉焼き。
Bird&Bee(&Gee)。
Birdさんは(いや、Beeさんかな)ロウエル・ジョージのカエルの子はカエル歌える娘さんで、ロウエル氏は僕の大先生なのであって、大先生の娘さんのCDを聞かぬわけにはいかぬのであって、たとえば黄ばんだ古新聞の隅っこなどに先生の名前を見つけただけで涙腺が緩んでしまって一日を棒に振るということが過去に度々あったのであって。(もう一人の大先生ハリスン氏とのスライドギターアルバム『ロウエル・ジョージ・ハリスン』の企画を僕が持ち込む前に、ロウエル氏は天に召された。)今日はたとえ足を棒に振ってでもCDを見つけ出し、あるだけ買い占めてこよう、なければ店主を斬り捨てもしよう。風呂敷を背にくくり付け山里の侘び住居を後にする。さて都のCD屋に辿り着くと、探すまでもなくでーんと飾ってあるBird&Bee。ビヨンセの隣りの隣りくらいでっセ。ビヨーンと面食らう。話題の一枚であるばかりか売れ行き好調か。拍子抜けする。ジャケットはポップで初夏らしいさわやかにトリップする色合いだ。聞いてみると音楽もとてもポップでいい感じだ。というか素晴らしさに愕然とする。まだオムツもとれていなかったあの娘が、このように美しい輝くようなBeeとなって羽ばたいているとは!おっといけないあの娘が見ている。思わず物陰に身を隠す。ズタボロの田舎Geeに成り果てたこの姿をあの娘に見せるわけにはいかぬ。あの娘はきっと戸惑うに違いない。このまま帰ろう。今日ここにいたことはあの娘にはナイショにしておこう。そう心に決めてGは人目を忍んで外へ出た。都大路はまぶしい陽射しと活気に満ちあふれている。しばらく歩いていると、今聞いたばかりのBの歌声があの茶屋この茶屋饅頭屋から通り一面に流れ出し、まるで都中が唱和するようではないか。Gは心から嬉しかった。そして悟った。「もう私の役目は終わった。私がCDを買わずともBはちゃんとやっていける。」先生にもご報告して行こうと回り道して山の墓地に足を向ける。木立に早くも蝉が鳴き始め、仰ぎ見たGの面に幾筋かの小便が涼しく垂れ注ぐ。と、Gの耳元でこそばゆい羽音がする。何かと思えばこの辺りでは見かけぬ虎模様も鮮やかな小さな蜂。都からずっとGの後をつけてきたのであったか。蜂はGに何事か告げるように3秒ほど静止すると、くるりと向きを変え木立の向こうへ姿を消した。思わず、Bと呼BかけてG恥Gいる。G代はBだ。よろこBとさBしさにG目を閉Gる。その時、蝉GGGと鳴く。
鶴の湯の前を通る。
「桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿、って言うじゃない」
おばあさん二人の立ち話からもれ聞こえてくる粋な台詞。書き留める。
続けて「見上げたもんだよ屋根屋のふんどし 粋な姐ちゃん立ちしょんべん」とは言わなかった。
(教科書の一行一句すら覚えられないというのにうちのSが上記の古典をそらんじた時には感動した。)
粋といえば小沢昭一だろう。よくは知らないが。古新聞に小沢昭一氏の本の宣伝があったのを切り抜いてピンで留めてある。なんでも新宿末広亭における10日間連続公演をそっくり収録したという。よだれが垂れる水前寺清子ではあるまいか。高価なので図書館にリクエストしよう。しかし、私の父親ならばまさに働き盛りであったこの年齢で昼日中から図書館にへばりついて小沢昭一というのはどうだろう。非生産的ではないだろうか。後ろめたくはならないだろうか。日が暮れて家に帰る。ひんやりと寂しい炊事場で夕食に一杯のかけそばを用意する妻の後ろ姿。リンゴ箱に縛り付けられ、大嫌いな勉強を強いられる息子の地獄で責め苦の形相。そうしたものが嫌でも目に入るだろう。日がな寝そべるばかりの犬でさえ、何の因果でかここにこうして捕われているその役割を真面目に全うしているに違いない。そう思うと、なにがしか罪悪感のようなものが心に生じてべったりと重く淀み、一方で口調は御機嫌取りの空疎な明朗さにカラカラと空回りしはしないだろうか。まいった。当分小沢さんはお預けにして、真面目に全うすべき役割について考えることにしよう。
余談であるが、私の知人たちに昼日中から吾妻ひでお「失踪日記」を耽読、高笑いして恥じる様子もない輩がおる。「失踪日記」は心の阿片として今や最危険視されるR80指定本であーる。私のような真面目な日本人をなんと心得ておるのか。しかも彼らは頑是無い幼子や犬にそれを投げ与え、哀れなるかな犬・幼子は既にして廃人の思想に親しんでいるというではないか。今、一億を挙げて美しい国の勤勉な愛国者たらんとする時世においてかような愚書・亡国の書は絶対的禁書として焚書に処せねばならんでしょ。しょ、しょ、しょ! しかし首相、焼いてしまう前に一読せねばなりません。愛国者たる者この国に巣食う害毒の姿を知らねばなりません。ということで、日本全国の愛国的図書館に「失踪日記」は配備せらるることとなり、臣民たる不肖私も昼日中図書館にへばりついて未読研究すること是申しつかることと相成る。邪悪極まる心の汚染に対する免疫力をつけるため、愛する家族にも勿論捕われの犬にも熟読を、じくじくと、どくどくと強制しなければなるまい。(そのような世の中になれば昼日中の小沢昭一くらいでは誰もびくともしなくなるのではないかい?)
告知、と言うとなんかコワイですね。
コワくない方の告知です。
私がサポートさせていただくライブをいくつかご紹介します。
近いところから、
じゃーん。
まず、gabby&lopezさん!
5月6日 2AM(つまり5日の深夜)
代官山UNIT
じゃーん。(半音上がる)
次に、原マスミさん!
5月6日 1PM頃
目黒区立美術館内のどこか
じゃーん。(さらに半音上がる)
お久々、あなんじゅぱす&小峰公子さん!
6月22日 南青山マンダラ
(http://homepage3
じゃーん。(もひとつ半音上がって「BAD」流れる)
そして、朝日美穂、高橋徹也さん!
6月23日 上野音楽堂(他にも多数出演)
それぞれ全く違った趣きのライブになるでしょう。
乞うご期待!
なお、共通回数券は発売しておりません。
XNOXが出演するライブをお知らせします。
5月20日(日)の音響jam「はこde録」(http://hakoderoku
5月24日(木)夜には渋谷7thfloorで3、40分いたします。出番は最後で9時過ぎみたいです。
ステージで寝ないようにしないといけませんね。
どうぞこぞってご来場ください。
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