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recommuni四方山話

2005年10月

2005年 10月 26日

四方山話その百十五【音楽ファンの力】 

【音楽ファンの力】

先週木曜日、20日、「recommuni」1周年のちょうど翌日、「東京コンテンツマーケット」の中のシンポジウムにパネリストの一人として出席した。「東京コンテンツマーケット」自体は映像コンテンツ主体の催しらしいが、そのシンポジウムは「音楽配信の最前線」とかいうタイトルで、大いにrecommuniをアピールしてください、という主催者の言葉に乗せられて出てみたものの、やはり人前でしゃべるのは緊張する。話しているうちに論点がどんどんずれていくし、悪いクセで早口にもなるし、冷や汗モノだった。

楽しかったのはピーター・バラカン氏がいっしょだったことだ。氏が昔、パーソナリティをされていた「ボッパーズMTV」というテレビの音楽番組で、当時まったく無名だったGONTITIをとりあげていただいて以来、氏には感謝と尊敬の気持ちを抱いているが、シンポジウムでの氏の話も、おだやかな口調ながら音楽を愛する気持ちがストレートに感じられる力強いものだった。

もう一人のパネリストは今巷で話題の「mF247」の宇佐美さん。彼とは初対面だったが、誠実で丁寧な人柄に好感が持てた。こういう人が推進していくサービスなら基本的によい方向に進んでいってくれるだろう。

iTMSもついに始まったが、邦楽はまだまだ少ない。新曲については2割程度?、全カタログからすると数%もないのではなかろうか。いわゆる先進国の中で、おそらく日本がいちばん音楽配信に閉鎖的だろう、とバラカン氏が言ってた。

直接的にはこれはレコード会社が、パッケージ・ビジネスとの兼ね合いで出さなかったり、音源の管理が追いつかなくて出せなかったり、ノンパッケージ時代にも生き残るための戦略だったり、が原因なんだろうが、だけど、実は音楽ファンのほうにも責任の一端はあるかもしれない。いや、責任は言い過ぎだが、それを許してしまっている弱さはあると思う。

推察に過ぎないが、日本の音楽ファンは総じておとなしく、また熱心なファンの割合も欧米に較べると少ないのではないだろうか。

CCCDはたしかに音楽ファンの力が撤退に追い込んでいったと思う。輸入権問題は抵抗は示せたが、阻止するまでにはいかなかった。あのとき、ピーターさんや高橋健太郎氏が中心になって、大々的に署名運動を展開したが、協力者が最終的に5万人くらいだったと聞いた。某音楽評論家氏曰く、その数字はだいたい、ある程度以上熱心な洋楽ファンの数と考えられると。で、洋楽と邦楽の売上の比率からすると、邦楽ファンはその3倍15万人、大雑把だが日本の音楽ファンは計20万人くらいなんじゃないかと。1億2000万人もいてそれだけ?!と悲しくなるが、たしかに音楽性だけで20万枚売るのがどれだけたいへんなことか、業界人は誰もが知ってると思うが、それを考えるとうなずける数字でもある。

一方アメリカはと言うと、CD BabyというCD通販サイトがあり、そこは個人の自主制作であっても、登録して、CDを5枚送れば、そのサイトで通販することができ、さらにiTunesやNapstterなどいろんな配信サイトにディストリビューションもしてくれる。だから小さなインディ・レーベルとか個人の参加がほとんどなのだが、なんとその数4万アーティスト、曲数にして40万曲以上、毎日1,000曲ずつ増えていると言う。自分の音楽を曲りなりにもCDという形にしている人、それは同時に音楽ファンであるのは間違いないはずだが、がこのサイトひとつでもそれだけいる、ということだ。そしてそんな無名アーティストの作品ばかりのこのサイトを毎日10万人の人が訪れているという。ちなみにその40万曲はiTunes Japanでも配信されていて、いきなり100万曲からスタート!というすごい数の裏には実はそういう事実もあるわけだ。

さらに「My Space」という、ちょっとrecommuniみたいなサイトには、1500万人も会員がいるらしい。元は個人レベルのアーティストが自曲を発表する場だったのが、ビッグネームのアーティストもどんどん参入しつつあるという話。

こういう話を聞くと、やっぱりアメリカって音楽ファンの数もパワーもすごいんだなぁ、と思わざるをえない。そして実際音楽ファン主導でマーケットのありようが変わっていってるように見える。

日本の音楽ファンにはそこまでのパワーがないから、だいたい大手レコード会社のペースで事が進んでいく。ボクらのような仕事からすると、それはくやしいことだけど、だからと言って、すぐにはどうすることもできない。それを踏まえてやっていくしかないのだが、だいじなのは何をやるかだ。熱心な音楽ファンは少ないんだから、エンタテインメント性で勝負したほうがいいんだ、などと考えるか、音楽ファンを増やせるようないい作品を生み、伝えようと考えるか。時間はかかっても後者をやらないと、いつまで経っても状況は変わらないだろう。

ボクは四六時中音楽を聴いてないと気がすまないというような音楽好きではないが、ほんとの感動というものを音楽でしか味わったことがない、とはっきり言える。この気持ちを味わえば誰でも音楽を大好きになるはずで、ボクの生きがいは少しでも多くの人に、それを味わってもらうことなのだ。

2005.10.25

福岡智彦

| Posted By 福 投稿日: 2005年10月26日 0時33分 更新日: 2005年10月26日 0時34分

コメント

「東京コンテンツマーケット」の記事(http://www.rbbtoday.com/news/20051021/26430.html)も拝見しました。

>時間はかかっても後者をやらないと、いつまで経っても状況は変わらないだろう

レコミュニに参加させていただき丸1年が経過しました。1年を振り返っての自分なりの総括を書いてみようとも思っているのですが、結論部は福さんと近い部分に向かいそうな予感がします。

レコミュニのせいで、この1年、やたらと音楽関係にお金を使ってしまった気がします。問題のひとつは、その中からレコミュニさんに流れた金額が微々たるものだという点かも・・・(^_^;)。

巡り巡って音楽関係者に流れていることだけは間違いないのですが、そうは言ってもというか、そんなこと言ってる場合じゃない!、というか・・・。

なんにせよ、1周年を機に、新たな気持ちで音楽を取り巻く環境が良くなって欲しいという願いに向かい合っていきたいと思います。本年もよろしくお願いします(ってなんか年賀状みたいになってしまってすみません・・・)。
by MAL - 2005年10月26日 1時5分
MALさん、ありがとうございます。

レコミュニに直接お金を使ってくれてなくても(^^;、MALさんの音楽ライフに少しでも刺激を与えることができたのなら、すごくうれしいです。

もうすぐ新しいサービスも提供できそうです。
2年目もがんばります。
by 福 - 2005年10月26日 9時18分
>MALさんの音楽ライフに少しでも刺激を与えることができたのなら、

いや〜、少しじゃないと思いますよ〜(笑)。
かなりいっぱいあるので、とにかく自分なりに総括をまとめてみないと、どのくらいあるのかすぐには羅列できません。

なので、多分外のサイトに、blogのエントリーとかじゃなく書いて、リンクを紹介、という風にしようと思っているのですが、一体いつ執筆すればいいのやら(笑)。今日もつい先ほど帰宅したところで・・・。明朝はいつもより早いし・・・。
by MAL - 2005年10月26日 23時54分
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2005年 10月 18日

嫌んなった/憂歌団 

アルバムの冒頭を飾る曲。内容はブルースの定石なんだけど、言葉とメロディーの合い方が絶妙。それをこの木村氏のボーカルが完璧に表現しきってる。

泥臭い曲なのに、聴いていてとてもすがすがしい気分になる。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月18日 14時9分 更新日: 2005年10月18日 14時9分

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2005年 10月 13日

ひとり暮し/憂歌団 

30年前の作品なんだなと思うと感慨深い。今はメンバー、バラバラだが、でもそれぞれ基本的にやってることが今も変わらない。

それだけブルースが好きなんだろうなー。

このアルバムはそんな、ブルースが好きでたまらない4人の気持ちが、ストレートに表現されきった名作なのだ。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月13日 22時48分 更新日: 2005年10月13日 22時48分

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2005年 10月 13日

はんか街のはんぱ女/憂歌団 

この名アルバムの中の、日本語ものばかりアップしてるんだけど、ブルースというアメリカ生まれの音楽をよくここまで自分たちのものにしたな、と今も感服する。

大阪の血というのが、そもそもブルースとか黒人文化に合うんだな。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月13日 22時37分 更新日: 2005年10月13日 22時37分

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2005年 10月 13日

ちょいとそこ行くネエチャン/憂歌団 

この曲の元ネタはブルースのスタンダード「Good Morning Little School Girl」だな。Sonny Boy Williamson作。ボクはJohnny Winterのライブしか知らないけど。

直訳すれば「おはよう、女学生」。それが「ちょいとそこ行くネエチャン」というニュアンスなんだろうな、きっと。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月13日 22時31分 更新日: 2005年10月13日 22時31分

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2005年 10月 11日

おそうじオバチャン/憂歌団 

アルバム『憂歌団』が発売されるひと月前=1975年10月1日に発売されたデビューシングル。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月11日 23時16分 更新日: 2005年10月11日 23時16分

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2005年 10月 11日

ドツボ節/憂歌団 

1975年11月1日にトリオレコード(当時)「Show Boat」レーベルよりリリースされたアルバムの3曲目。

ファーストだと思っていたら、その前に「ブルース1973〜1975」ってのが出ていたみたい。

ともかく名アルバム。日本語のブルースとしてはいまだに最高峰ではないだろうか。

今回ずいぶん久しぶりに聴き直してみて、実はこの曲どんな曲だっけ?とタイトルだけでは思い出せなかったのだが、聴いたらやはりいっしょに歌えた。それだけインパクトがあるんだろう。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月11日 23時12分 更新日: 2005年10月11日 23時19分

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2005年 10月 09日

週末/吉田美奈子 

このゆったり感はなんなんだろう。

このアルバム全体を通して、言えることだけど、音の中に、ものすごく気持ちのよいゆったりとした時間が流れている。

音楽の力をあらためて感じさせてくれるパフォーマンスだ。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月9日 21時29分 更新日: 2005年10月9日 21時29分

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2005年 10月 09日

かびん/吉田美奈子 

まだまだ寒いんだけど、空は晴れて雪道もちょっと溶け出している。春の気配がちょっとうれしい、そんな気持ちにさせてくれる曲。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月9日 21時25分 更新日: 2005年10月9日 21時25分

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2005年 10月 09日

綱渡り/吉田美奈子 

日本のプログレの走りか?

彼女の声もよいけど、ほんと演奏と録音がすばらしいです、このアルバム。

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| Posted By 福 投稿日: 2005年10月9日 21時16分 更新日: 2005年10月9日 21時16分

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2005年 10月 09日

外はみんな/吉田美奈子 

30年以上たった今も、まったく古さを感じさせない音。

外はみんな/吉田美奈子 towerrecordsで購入 amazonで購入
| Posted By 福 投稿日: 2005年10月9日 21時6分 更新日: 2005年10月9日 21時6分

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2005年 10月 05日

誕生日 

10月29日生まれなんだけど、なんと、つんく♂、ホリエモンと同じだった。以前調べたときは、彼らは有名じゃなかったので出てこず、井伊直弼だけだったんだけど…。

免許更新しなきゃ。

| Posted By 福 投稿日: 2005年10月5日 13時27分 更新日: 2005年10月5日 13時27分

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2005年 10月 01日

懐かさぬ風/Orange Clover 

沖縄らしい、大きな曲です。名曲。

懐かさぬ風/Orange Clover
| Posted By 福 投稿日: 2005年10月1日 18時0分 更新日: 2005年10月1日 18時0分

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2005年 10月 01日

大きな木ガジュマルの下/Orange Clover 

ボーカルの仲宗根さんの歌声はとっても素直でのびやかだ。

沖縄の血が脈々としながらも、ポップで、スタンダード性を感じるのは、その歌声によるところが大きい。

大きな木ガジュマルの下/Orange Clover
| Posted By 福 投稿日: 2005年10月1日 11時57分 更新日: 2005年10月1日 11時57分

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2005年 10月 01日

マーメイド/Orange Clover 

イントロはいわゆるフュージョンのコードとリズムのギターで始まるが、歌が出てくると軽い裏切り。歌メロは沖縄音階。

その違和感が絶妙なところでバランスを保っていて、奇をてらった感じはない。全体としてはとてもポップでよい曲に仕上がっている。

マーメイド/Orange Clover
| Posted By 福 投稿日: 2005年10月1日 11時53分 更新日: 2005年10月1日 11時53分

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2005年 10月 01日

青い海と緑の島で/Orange Clover 

アルバムの1曲目。

オーソドックスでさわやかなフュージョン・ポップが展開されていく…と思ったら、間奏でいきなり三線が!!

エンディングにも「ウチナー合いの手」が入ってきて、でもそれら沖縄要素がとっても自然に溶け込んでる。

青い海と緑の島で/Orange Clover
| Posted By 福 投稿日: 2005年10月1日 11時48分 更新日: 2005年10月1日 11時48分

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