a person powered by ototoy blog
霧の万年床〜楠 均のBGM日記2007/10 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
28 | 29 | 30 | 31 | |||
2007/11 | ||||||
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | |
2007/12 | ||||||
1 |
仏人マニュ君の関西演奏旅行より帰還。僕は途中から新幹線で乗りつけて(関西圏だけ車移動して)3回だけライブやって、ほんで新幹線でバイナラというナンパなことであったが、エマーソン、石井マサユキのお二人は、超多忙を縫ってマニュ君を乗せて完全車移動全600回公演というハードな旅をした。そんな僕が疲れたを口にするのは申し訳ないが疲れた。けれど全く充実していて、若い頃大学行ってる暇があったら、こんな生活を2年間くらい続けたらセックスピストルズやビートルズになれたかもしれないと思うほど刺激を受けた。
しかしなんで見ず知らずの(正確には、見ず知らずだった)仏人、それも僕と息子のちょうど中間くらいの齢の若造のために、日本を代表するベテランが3人も雁首揃えて粉骨砕身の上スケジュウルを合わせ、無謀とさえ言える旅に出たのかっつーと、それは3人ともマニュ君の才能に惚れ込んだからでありましょう、おそらくは。それから、ライブの度にエマーソン氏が強調していたように、「なんつーか、いいかんじの奴なんでー」ってことです、おそらく。
マニュ君の音楽は、・・・と一言で言えないので詳しい言及は避けることにしますが、かなり複雑でストレンジなのに、難解というよりはそこはかとない愛らしさやユーモアさえ感じさせるのは「いいかんじのやつ」故か。
ドラマーとして、つき合い当初困惑したのは彼の音量と音色に対する強いこだわりでした。楽器と見なされない音に執着したり(僕が段ボールをこすっているのを目撃した彼は、僕をストレンジ仲間と思ったのだろう)、限界ぎりぎりまで音量を抑えることを要求された結果僕はスティック代わりに箸を使うことになったり、それも菜箸では音が大きいということで割り箸を持たされたり。それでも彼は不満げで、空気を叩くマネをしたらやっとにっこり微笑んだ。スティックというのは重いのは大変に決まってるが軽すぎるのもまた大変で、それで空気を2時も間強打していると手首の変なところにギリギリと負担がかかって、一度ならずねじ切れて落ちたボトリと。その音がマニュ君、いたくお気に召したようだった。そうして無理難題にいやいや応えているうちに、彼がいたずらにややこしいナゾナゾをふっかけている訳でないことが分かってきた。型通りでなく常にその場に一番ふさわしい音を探しているのだった。
どのライブも素晴らしかったけれど、京都の夜はママミルクの生駒さんのアコーディオンソロが聴けてこれには、息を飲んだ。(「ミルクならぬ息を飲んだ」と書きたかったのに馬鹿だと思われるのがいやで、「ミルクならぬ涙を飲んで」思いとどまった。)他にこんな歌い方を知らないと思った。次にエマーソン氏がソロ演奏を執り行った。まるで冴え冴えとした秋の月を見るような、それを古人が入魂の一句に読むその現場に立ち会うような、そんな演奏だった。エマ氏は現実から逸脱することを自らに慎重に戒めながら、ついに宇宙の彼方に浮かんでいる。
そうそう、11月15日にマンダラ2でマニュ君のライブを行います。僕とジャンミシェルのツインドラム、ツインドラムとは思えぬ音の小ささです、乞うご期待!(ジャンは竹ぼうきの先ッポをちょん切ってブラシのように使います。素晴らしい音色、そして完璧なボリュームコントロール。達人です。)もちろん、石井マサユキ、エマーソン北村の両氏出演なさいます。マニュ君の友人ドンニノさん、そして米系邦人オニキユージさんが対バンです。すごくおもしろいでしょう。ぜひ見にきて下さい。いいかんじのヤツなんで。
コメント
私はヨシハシのアカシモモカのライブで
音量をおさえるために菜箸でドラムを
たたいたことがあるけど、
割り箸とはおそれいった!!
それに勝る「軽さ」は「耳かき」くらいであろう。