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霧の万年床〜楠 均のBGM日記

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      記事リスト 8ページ目

      3月22日

      陽のあるうちに仕事から戻る。めったにない。心弾む。屋内の暗がりから犬を引っ張り出し、町内引き回しの刑。犬喜ぶ。大きい公園に行く。巨大な陽だまり。陽黙り? 梅もなんもかんも一番に咲く。今は日向みずきと雪柳、黄色と白。犬、大きい公園のはしっこにおしっこ。大きい公園から小さい公園に移動。犬、はしっこにうんち。こないだの強風でケヤキの大きな枝が何本か落下したのがそのままになっている。そう簡単には土に還らぬ。犬、用便後、矢のようにと形容しても差し支えないくらいの高速で走る。ほとんど飛ぶ。これが弱虫で怠惰で、日がな一日床の敷物として暮らし、家族に踏みつけにされる度に大量の毛を失い、椅子の足で横腹を射抜かれ、落下した土鍋によって全身骨折の憂き目に遭っても尚敷物として生きる危険と屈辱から脱しようとしない、あのヌル犬かと疑うほどの雄姿。顔つきも別犬だ。

      「何しろかつては遠きイングランドの丘を羊を追って駆け回っていたものさ。」

      吾も嬉しくて走る(何しろかつては北の凍りついた大地を駆け回っていたものさ)ふりをする。ほんとに走ったら腰を抜かす。軽量の犬、すぐに疲れる。チータと同じで長いことは走れない。今日のような陽気ではいっそう疲れて後はひたすら敷物として生きる。顔つきも元通りに弛緩しきっている。覚醒は一日のうちのまことに限られた時間のこと。他人とは思えない。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年4月4日 11時28分 | 更新日: 2007年4月4日 11時28分
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      3月21日。

      PCを見ていた妻、ちょ、ちょ、ちょー!と叫ぶ。な、な、なー、と参じてみれば、くじらの杉林氏がPTAの会長になられたとのこと。快挙である。おめでとうございます。杉林さんなら適任だと思っていた、と妻。なってから後出しで言うのは卑怯である。僕なんかずーっと前からいつかはきっとこうなると予言していた(トイレの中で)。人は持って生まれた器を生かすべきと思ふ。僕の知るかぎり杉氏は社会性のある仕事に対して前向きとはいえないけど、本当はすごく才覚がある。都知事選に出ると言うならみんなで応援しよう。(みんなって、今これを読んでいるあなたもその一人です。)

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年4月4日 11時3分 | 更新日: 2007年4月4日 11時3分
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      3月20日。

      冬の間光に恵まれなかった部屋に陽射しがよみがえる。しかしそのせっかくの陽射しを遮る巨大な影がある。せっせと溜め込まれた古新聞の山だ。木の実を溜め込むリスと同じだ。とにかく目についたら部屋に運ぶ。リスなら土中に埋める。これを処理しなければ僕の部屋に春は来ない。確定申告のように集中して行わないと永遠に片付かない。リスくんと違って生死にかかわる訳ではないけど、本能だから簡単にはやめられない。困った。おまけに外は天気がいいし、桜だって咲き出した。仕事だってあるし宿題だってある。人から借りたレコードもまだ聴いてないし、死ぬまでに読んでおきたい本だって何冊かある。そんなこと言い出したら何人かの友人にも会っておかねばならないだろうし、田舎の老父母のことだってある。それを言い出したら子供の教育費はどうするんだってことにもなる。もっと緊急には、ガス会社に「ほっといたら爆発するかもよ」と脅されている古いガス管の問題だってある。え?ガス管なんて公共のインフラだろう、税金でやっとくれ、なんてこと言ってるからいつまでも親方日の丸から抜け出られないムラ社会の住人であり続けるんだバカバカ、と頭をポカポカして急ぎのことは全部シャットアウトする。にしても、古新聞を読むくらいならラジオで小沢昭一の話を聞く方がよほど有意義だろう。そう思うと進退きわまって、古新聞から逃れたい一心で、来日を記念して、スティービー・ワンダーの「トーキング・ブック」を聴くことにした。手元の古新聞(去年の8月28日)よりはるかに古いのに、こちらは古びるどころか当時のまぶしいほどの瑞々しさとはまた別種の光を放ち始めている。よみがえる青春、ああエバーグリーン!なんてのからはほど遠く、むしろ仏像を見るような発見。(それは古びてるっちゅうことか?) 昔々ナンカ阿修羅みたいなムチャな奴がいてスタジオで暴れておったとさ。手足髪の毛、脳ミソ爪の垢、ぼんのくぼ見えない目、ありとあらゆる部位を使ってなぁ。スタジオ内部は核融合炉みたいに煮えたぎったものじゃった。覗いてはならぬ与ひょう、覗いてはならぬとあれほど言ったのにオヒョー!

      番組予告でスマップに囲まれているワンダー氏を見たら、阿修羅というより弟子を従えたヒンズー教の像に似ていた。パオー!

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年4月2日 11時58分 | 更新日: 2007年4月2日 11時58分
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      3月19日。

      何をする気力もなく、早く夜が来ないかと念じて一日過ごす。すると待望の夜が訪れて、永瀬正敏主演の時代劇「隠し剣鬼の爪」を見る。すべてが微温的で、だいたい肝腎の殺陣がとってもユルくて、おいおい、やー何だか、とか言いながら見る。でもそれで一向に差し支えない。勝新や三船はそらぁすごいけど、あれはあれこれはこれ。いしいしんじさん(敬称あり)は、齋藤記念オーケストラの市民合唱団の一員として小沢征爾から直接指導を受けたというのに、その世界のオザワの名前が思い出せなくて「ナントカセージ」で済まそうとしていた。そのナントカ氏の息子さんはこの映画で永瀬くんに斬られるのだが、彼の決闘中の声が惜しくも優しくも高すぎた。うちの息子は「いやそんなことはない」というが。別に仲代達矢の声であって欲しいとは思わないが。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年4月1日 10時59分 | 更新日: 2007年4月1日 10時59分
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      3月18日その2。

      作家いしいしんじさん(以下敬称略)のトークショー&サイン会に行く。妻が絶対面白いからと言うので僕の分もチケットを取ってもらっていた。(後で、やー腰が抜けるほど面白かった、などと言われると腰が抜けるほど悔しいので。) いしいは(敬称略ってむつかしい)マグロで有名な三崎とお城のある松本に二股かけて住んでいらして、それぞれの町の殺風景な風景とか行きつけの汚い店とか、どこにでもいる猫とかつぶれた風呂屋とか、知り合いの酔っぱらいのおっちゃんとかその息子とかをスライドで見せてくれる。腰は抜けなかったがすごく面白い。後半は、新刊「みずうみ」に影響を与えたかもしれない(与えなかったかもしれない)書物からのでたらめ抜粋朗読。お客はランダムに配置されたページ群のコピーを渡されて、耳で聞きながら今どこを読んでいるのか目でも追う。さながら文字オリエンテーリング。僕は老眼が進んでいて全く追えない。息子は若さしか取り柄のない無学な阿呆者に過ぎないが、意外にも目ざとく追っていく。(日頃、いやーもー齢なんで、なんて卑屈な笑みを浮かべ頭かいているのは敵を欺くための作戦に過ぎないのだが、いやそのつもりだったのだが、実はそれが紛れようもない真実なのだと知らされているのだろうか。日々ちょっとずつ。) 天才バカボンやスヌーピーから聞いたこともないむつかしそうな本まで、無意味な羅列なのだけれど、面白い。あんなユルユルで無意味なライブをXNOXでもやってみたい。(もう十分にユルイんだろうか?) そういえば、しんじ(敬称略ってむつかしい)も大阪弁でしゃべる。大阪弁だからオモロイとは思わないけれど、ちょっと羨ましい。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年3月30日 10時21分 | 更新日: 2007年3月30日 10時21分
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      3月18日その1。

      朝さっさと帰京。アササッサ。何年か前まではアササッサではなかった。仕事であちこちに行くことが多く、それに付随した楽しみを見つける必要に迫られた。心細くなるくらいひと気のない立派な美術館に行くとか、炎天下、道に迷って急坂で倒れるとか。もっと些細な楽しみとして、まともなサンドイッチとコーヒーを出す昔風の質素な喫茶店に早朝巡り会うとか。多くは年配のサラリーマンとか近所の商店主といった常連で占められていて、そーゆー人たちがワールドカップの折などサッカー人気にケチつけたりしている。夫婦二人きりで切り盛りしているのがベスト。朝7時に店を開けて夕方6時に閉める。モーニングセット400円前後。こういう店に当たる確立は大阪が高いような気がする。東京ではそんな機会がないだけかもしれない。丸の内とか新橋あたりにあるんだろうか。こういう店に当たるとアメリカ資本の大型チェーン店なんか絶対に行くかなぁオヤジ、ってわけもなく気合いが入ってきて顔面紅潮する。私もいっぱしの愛国者。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年3月30日 9時54分 | 更新日: 2007年3月30日 9時54分
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      3月17日 その2。

      打ち上げの居酒屋に身なりのよい老人が一人でやってきて、座るなりテーブルに20分ほど突っ伏した後、ガバと顔を上げて女将さんに向かって「こら!」と怒鳴ったかと思うと「わしのうちはどこや!?」に始まるナンセンスな言動挙動のオンパレード。テーブルに万札数枚広げといて、女将さんに「こんなにいりません」と引き取らされたりもしている。やりとりからイチゲンの客とわかるが、女将さんも板さんも辛抱強く鷹揚に対応。最後は老人が「しっかり励めよ」みたいなことを言って板さんと固い握手を交わして立ち去る。このやりとりを支えているのが他ならぬ大阪弁であることを実感しないわけにはいかなかった。大阪弁がうらやましく思える。「社交としてのフランクな態度」を可能にするユニークな言葉だと思う。「フィクションとしての親密さ」が無理なく演出される。フィクションと言ってもウソとは違う。「あんたと私はただの他人。せやけど袖すり合うも他生の縁。今このひとときの友とならんや。」という共通の了解がある。長い時間をかけて練り上げられたであろうイントネーション・アクセント・言葉の歴史は、そのまま人と人とが情に頼らずに仲良くやっていくための工夫の歴史だったと思う。(言葉の外見ではなく、現実の心の動きが伴わないと大阪弁がこのような資質を持つことはなかった。と思う。)作家のヴォネガットは、必要なのは愛ではなく少しの親切心だ、と言っていた(ような気がする)。親切心がないと、大阪弁の外見の親密さは、きっついウソっぽさに裏返る、こともまた覚えのあるところ。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年3月24日 13時23分 | 更新日: 2007年3月24日 13時23分
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      3月17日 その1。

      深夜の中央線の体が変形するほどの混雑の記憶も薄れぬまま、気が付けば新幹線の中。(遊佐未森さんの)cafe mimo大阪進出。梅田の赤い観覧車を載っけたあのビルの中。cafe mimoもこうして少しずつ版図を広げ、やがて帝国を築くのだ。ぼっけーきょーてー(競艇)マニアの寺田さん作編曲コーナーにおけるmimoちゃんの少し演歌調の歌唱には本職の演歌歌手には出せない明るいのんびりやかさがあって、ぜひとも全アジアに知らしめたい。まずは紅白だ。坂本冬美ちゃんと一緒に後ろで踊りたい。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年3月24日 13時2分 | 更新日: 2007年3月24日 13時2分
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      3月16日。

      ちったでざばだっくらいぶ。明治時代の人が読んだら何のことかわからないだろう。青木君の美しいギターソロ、難波さんの神がかった力業、クールに見える吉田君のガッツネス、楠の股引、等見どころ聞きどころ満載のライブだが、やはりキラコミネ(新種の米)がうまい。リハ中みんなやることが多すぎてグシャグシャだったが当日はちゃんと音楽が立ち上がった。設計図がしっかりしているからでもあるが、やはり米の力だ。岩をも貫くキラ王子の念力と、寿司食いねぇアタイを見ねぇこう見ねぇのコミネ姫のしーするーせくしーぱわーだ。二人きりでステージに立つ姿は今までになくしっくりきている。里山に稲穂をなびかせるトワエモアのように自然だ。喜びも悲しみも幾星霜、ぬか味噌の妻もかき混ぜないと腐ってしまう。音楽はとてつもなく自由に放たれるものなのだ。しかし簡単には放たれ得ないものなのだ。バカボンのパパはハナタレナノダ。僕は舞台袖でいやらしい笑みをかみ殺し、代わりに苦虫を噛み潰したような顔で再びドラムセットの一部に収まった。

      そうそう、コミ姐さんからの助言で「楠 均」の名前でブログにたどり着けるようにいたしました。「早く気付かんかいチビこら、お前みたいなボケがおるからネット社会の効率化が著しく妨げられて、わしらが迷惑するんじゃ、つーの。」とは言われませんでした。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年3月23日 11時1分 | 更新日: 2007年3月23日 11時1分
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      3月15日。

      ここ何日かドラム叩く。背中に黒い影貼り付く。それが巨大蜘蛛みたいにもぞもぞ動き出すと、つる。クモとツルが通じ合っている。いやらしい。背中がギューッとなってるところに今度は心臓がキューッとなって、同時にひきつれる。身体の表と裏が通じ合っている。いやらしい。フツーのドラムセットをフツーのスティックで叩くとこうなるのか。いや、たぶん行いが悪いだけだ、気をつけよう。

      Posted By XNOX クスノキス | 投稿日: 2007年3月22日 10時1分 | 更新日: 2007年3月22日 10時1分
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