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recommuni四方山話

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四方山話その百十三【言葉の力】

渋谷駅から乗る井の頭線はいつも混んでいる。特に夏は暑いし臭いしイヤになる。そんなとき、限られたスペースに数が多すぎると魚は共食いを始めるという話を思い出す。都会の中心部は明らかに人の数が多すぎる。人間はさすがに共食いはしないだろうが、「誰でもいいから殺したかった」みたいなイライラ型の犯罪が近頃多いし、ものすごい形相で怒鳴りあったりしている光景はけっこう目にする。

満員電車や雑踏の中では、日常的に誰しもが相当イライラ来てると思う。もしたとえば、電車内でぶつかってきた人に「気をつけろよ」とでもボソッと言ったりしたら、間違いなく「なんだとぉ」となり、少なくとも殴り合い寸前まで行くことは確実そうな、そんな不穏な空気がいつも漂っている気がする。なんだか荒んでいる。

自転車を駅前の駐輪場に止め、チケットを買おうとしたら、販売機に先約のおばさんがいた。通勤時で、電車の時間が迫ってるから、心の中では舌打ちをする。ちょっとイラっとしていたら、買い終えたおばさんがボクを見て、

「お待たせして、どうもすみません」と言ってくれた。

「あ、いえ…」と返したつもりだがモソっとした声で、聞こえたかどうか。

おばさんの一言で、ボクのイラつきなんか、今ハヤりの「ちっちぇーなぁ」という気分になった。こういう言葉なんだよな、必要なのは。言葉ひとつで人の気持ちは全然変わる。

このケースで、おばさんが無言で立ち去ったら(そういう場合が多いけど)、ボクはイラっとしたまま、まあ10分後には忘れる単なる平凡なひと時だろうし、もしボクがイヤなヤツで、おばさんに「早くしろよっ」なんて罵声を浴びせたとしたら、おばさんは非常に気分を害しただろうし、怒ってわざとゆっくりしたかもだし、気の強い人なら「余計なお世話だよ」なんて言い返したかもしれず、こちらも不愉快さがエスカレートしただろう。

言葉は気持ちを表す、と考えるのが普通だが、言葉が気持ちを動かすのは確かだから、まず言葉、「すみません」とか「ありがとう」、たとえ本気で思っていなくても、それを言うことで相手の気持ちがなごみ、それがこちらにも返ってくる。逆もまた真。イヤな言葉は人間関係を簡単に破壊する。

アメリカとかへ行くと、ちょっとぶつかったり、ぶつかりそうになったりするだけでも、「Excuse me」を連発し、何かちょっとでもやってもらうと「Thank you」を連発する。おそらく「握手」と同様、多民族国家の人間関係をスムーズにするための習慣だと思うが、多民族ではない日本も、これだけ人が密集している以上、潤滑油としての「すみません」と「ありがとう」がすごく必要になってきていると思う。

やはり通勤時のこと、バスで、小学生の男の子が降りるとき、大きな声で「ありがとうございましたっ」と言うのを見た。運転手さんもマイクで「どうもありがとう」。これでイヤな気分になる人なんていない。他の乗客もみんな、少し晴れやかな気持ちになったんじゃないかな。

なんだか道徳の時間みたいなこと言ってるようだけど、でもいつもこういう言葉をかけあっていたら、きっと「誰でもいいから殺したい」ような人はいなくなると思うよ。

2005.09.11

福岡智彦

Posted By 福 | 投稿日: 2005年9月11日 21時54分 | 更新日: 2005年9月11日 22時8分

四方山話その百十二【感動女店員】

“eEYO(イーヨ)”のギタリストだった山口順の、何年かぶりの(本人は100年ぶりって言ってたけど)ライブの後、晩ゴハンがまだだったので、吉祥寺の「一風堂」というラーメン屋に一人で入った。そこで、近頃には珍しい、いい感じの女性店員さんに出会って、ちょっと感動したという話。

「一風堂」はいろんなところにある有名人気店だから、ここもまあ混んでて少し待たなくてはいけなかったが、20歳前後と思しき若い女店員さんから、まずは相席でもよいかと訊かれ、よいと答えたが、そのときちょうど2人掛けのテーブルが空き、すぐ片付けますからそちらへどうぞ、と言う。

混んでるラーメン屋は一人客がテーブル席に座るのを普通嫌がる。まして客が相席をOKしているのに、あえてゆったりした席のほうを勧めるなんて見上げた心がけだ。早くも好感度が上がったが、この時点ではこれは店の方針で、こういうところもこの店の人気の秘訣なのだろう、などと思っていた。

で、座って注文。ビールと「赤丸」(赤丸はここのラーメンの2大種別のひとつで、もちろんもう一種は「白丸」。赤のほうがこってりで辛い)。そしたら彼女が「ビールを飲みながら少しゆっくりなさいますか?それともすぐにラーメンもお持ちしましょうか?」と訊くではないか。

これには驚いた。だってここは次々と客が来る人気ラーメン店だ。薄利多売は言い過ぎかもしれないが、客の回転を上げて少しでも数を稼ごうとするのが普通である。客だってうまいラーメンが食えればよいんであって、サービスになんか期待してはいないだろう。プラス、彼女自身も忙しく立ち動いてけっこう疲れているはずだ。それなのにこんな丁寧な接客をしてくれるとは!

しかしおなかが減っていたボクは、そのせっかくの気遣いも無にして「すぐ持ってきてください」と即答してしまったけど。

彼女のすばらしいところは、それがまったくマニュアルっぽくなかったところだ。「ポテトもご一緒にいかがですか?」というのとは次元が違う。ごく自然に自分の言葉で語っていた(ように思えただけ?…いや、ぜったいそうだ!)。必要以上に愛想よいわけじゃないし、かと言ってもちろん無表情ではない。丁寧でありながら、気が置けない態度と口調。

考えてみると今の時代、接客でも商談でも近所づきあいでも、こういう態度で相手に接することができる人は、きわめて少ないんじゃないか。マニュアルだったり、打算的だったり、慇懃無礼だったり、単に失礼だったり。

彼女との会話はそれと、あと食べ終わった後のレジでの「ごちそうさま」「ありがとうございました」だけである。でもこのたった数語の会話のおかげで、ボクの心はすごく和やかになった。

こういう若い子がいるなら日本もまだだいじょぶだ。

でもあんまりいないよなー……。

もうちょっといてほしいなー。

2005.09.03

福岡智彦

Posted By 福 | 投稿日: 2005年9月3日 22時38分 | 更新日: 2005年9月3日 22時44分

ドンキークリーチャー/福岡史朗

一声始まったとたんに、からっ風を感じます。

土ぼこりと、かすかに馬の匂い…

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Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月30日 16時6分 | 更新日: 2005年8月30日 16時6分

1000のブルース/福岡史朗

ディランとバンドが地下のスタジオで生み出したような、セッションを重ねて編み上げたグルーブを感じます。

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Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月30日 16時1分 | 更新日: 2005年8月30日 16時1分

ハッカのガム/福岡史朗

存在感のある声です。一度聴いたら忘れられない。

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Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月30日 15時57分 | 更新日: 2005年8月30日 15時57分

ラスク/BOXCOX

バンド演奏によるアップテンポ・ナンバー。

ナチュラルで太い音だなー。

今の日本人には珍しい、土の匂いのする音楽です。

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Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月30日 15時50分 | 更新日: 2005年8月30日 15時50分

石の上/BOXCOX

髣髴とさせるのはボブ・ディランかな、やはり。

でもディランに影響された人、フォロワーは数多いだろうけど、このレベルに達している人はほとんどいないでしょう。

詞の発想と、リズム・メロディーへの乗せ方、その表現のしかた。

見事です。シブいです。

石の上/BOXCOX towerrecordsで購入
Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月30日 15時45分 | 更新日: 2005年8月30日 15時45分

どれくらい/BOXCOX

決して明るい内容ではないのに、湿っぽくなく、こんな乾いた感じが出せるというのは、日本人では珍しいんじゃなかろうか。

どれくらい/BOXCOX towerrecordsで購入
Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月30日 15時40分 | 更新日: 2005年8月30日 15時40分

PIRAMIさん新聞記事に

recommuniでも活動されているPIRAMI(星空ヨガ)さんが地下40mの「地底音楽堂」でコンサート!とのニュースが朝日の社会面にどーんと出てた。

ネットでも↓

http://www.asahi.com/national/update/0826/TKY200508260342.html

PIRAMI(星空ヨガ)さんの配信曲はこちら↓

http://recommuni.jp/them/index.php/ARTIST/2060/

Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月27日 11時12分 | 更新日: 2005年8月27日 11時13分

四方山話その百十一【ぐやじい〜】

麻布十番で飲みながらつい話に熱中して、時計を見たらもう終電が近かった。タクシーで相乗りをという友人の提案をなぜかキッパリ断って、麻布十番駅から南北線で目黒へ。

目黒駅には24:30ごろ着いたと思うが、次の新宿・渋谷方面行きは24:45、それも最終である。15分もあるからベンチに座るが、酔ってるから居眠りが怖い。ウトウトなりつつもかろうじて意識を保って、「電車が到着しまーす」というアナウンスを聞く。ああ、やっと来たぞ、さあ……なのに、なんとここで空白になった。

ハッと目を開けると、ちょうど扉が閉まったところ。バネ仕掛けのように立ち上がったが、もうどうしようもない。さぞかし情けない顔をしていただろうボクの目の前で、山手線外回り最終電車は静かに動き出した。

それまでの15分間なんとか居眠りを我慢していたのに、電車が来る直前から扉が閉まるまでのおそらく30秒程度だけ!完全な眠りに落ちていたのだ。こんなことがあっていいのか。

どうせだったら駅員さんに肩を叩かれるくらいぐっすり眠り込んでしまえば、それなりにあきらめもつく。肝心カナメの30秒だけ、計ったように居眠りしてしまうなんて、神様もいたずらが過ぎる。

しかたがないのでトボトボと出口へ。スイカは入った駅でそのまま出るのを許してくれない。改札にまでバカにされながら、外へ出て、タクシーに乗る。4260円也。

まるで絵に描いたようなドジだが、あまりにできすぎててウソっぽくて磯野貴理子の話みたいだから、笑いもとれない。自分で笑うしかない。

2005.08.26

福岡智彦

Posted By 福 | 投稿日: 2005年8月26日 23時57分 | 更新日: 2005年8月26日 23時58分