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霧の万年床〜楠 均のBGM日記2007/4 | ||||||
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鶴の湯の前を通る。
「桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿、って言うじゃない」
おばあさん二人の立ち話からもれ聞こえてくる粋な台詞。書き留める。
続けて「見上げたもんだよ屋根屋のふんどし 粋な姐ちゃん立ちしょんべん」とは言わなかった。
(教科書の一行一句すら覚えられないというのにうちのSが上記の古典をそらんじた時には感動した。)
粋といえば小沢昭一だろう。よくは知らないが。古新聞に小沢昭一氏の本の宣伝があったのを切り抜いてピンで留めてある。なんでも新宿末広亭における10日間連続公演をそっくり収録したという。よだれが垂れる水前寺清子ではあるまいか。高価なので図書館にリクエストしよう。しかし、私の父親ならばまさに働き盛りであったこの年齢で昼日中から図書館にへばりついて小沢昭一というのはどうだろう。非生産的ではないだろうか。後ろめたくはならないだろうか。日が暮れて家に帰る。ひんやりと寂しい炊事場で夕食に一杯のかけそばを用意する妻の後ろ姿。リンゴ箱に縛り付けられ、大嫌いな勉強を強いられる息子の地獄で責め苦の形相。そうしたものが嫌でも目に入るだろう。日がな寝そべるばかりの犬でさえ、何の因果でかここにこうして捕われているその役割を真面目に全うしているに違いない。そう思うと、なにがしか罪悪感のようなものが心に生じてべったりと重く淀み、一方で口調は御機嫌取りの空疎な明朗さにカラカラと空回りしはしないだろうか。まいった。当分小沢さんはお預けにして、真面目に全うすべき役割について考えることにしよう。
余談であるが、私の知人たちに昼日中から吾妻ひでお「失踪日記」を耽読、高笑いして恥じる様子もない輩がおる。「失踪日記」は心の阿片として今や最危険視されるR80指定本であーる。私のような真面目な日本人をなんと心得ておるのか。しかも彼らは頑是無い幼子や犬にそれを投げ与え、哀れなるかな犬・幼子は既にして廃人の思想に親しんでいるというではないか。今、一億を挙げて美しい国の勤勉な愛国者たらんとする時世においてかような愚書・亡国の書は絶対的禁書として焚書に処せねばならんでしょ。しょ、しょ、しょ! しかし首相、焼いてしまう前に一読せねばなりません。愛国者たる者この国に巣食う害毒の姿を知らねばなりません。ということで、日本全国の愛国的図書館に「失踪日記」は配備せらるることとなり、臣民たる不肖私も昼日中図書館にへばりついて未読研究すること是申しつかることと相成る。邪悪極まる心の汚染に対する免疫力をつけるため、愛する家族にも勿論捕われの犬にも熟読を、じくじくと、どくどくと強制しなければなるまい。(そのような世の中になれば昼日中の小沢昭一くらいでは誰もびくともしなくなるのではないかい?)
コメント
同じくスターだった蛭子神(ひるこがみ)さんは
その後出家して坊さんになってしまった。
(彼の人生は、ハードロリコン→僧侶)
80年代コミケのスターの人生はタダでは終わらない。
小沢昭一人生をカンタンにまねできないのと同じく
80年代コミケ・スターのまねもそうそうできない
だろう。首相、ブンカの底辺の層の厚さを
知らずに死にますね、きっとあなたは。