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霧の万年床〜楠 均のBGM日記2007/7 | ||||||
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昨夜ケータイがないことに気付き、何度目かのことでもあり、なくしたこと以上に家族への釈明に苦慮していたところ、小峰さんがお前のケータイは青山のレンタカー屋にあると連絡してくれた。諜報部員かと思った。「ケータイの携帯を以後禁ずる」という家族会議の決定がくだされる直前のことだった。小峰さんには大酒飲みの素敵なご亭主がいてその方のゲロを日々始末しながら、なんで他人の失せ物の始末までせにゃならんのよと仰りたかったに違いない。ありがとう。そう言わないでくれて。今夜も二人で気の済むまで杯をあおって下さい。
翌日東京の湿気から逃れるように北海道に帰省。その前にケータイを受け取りに行かねばならないのだが、どうしてか支度がうまくはかどらず、ケータイどころか飛行機に間に合うかどうか怪しい。口数が減っていたWが「私が先に行って回収してきます。とばっちりを食うのはまっぴら御免下さいませ」と、ことのほかきっぱり言うのでそうまで言うなら任せぬでもなく「行ってらっしゃいませ」と送り出す。何しろ自分のことが自分で出来ない無学な中学生と犬まで含めた移動でこっちも大変である。ケータイどころではない、と空港に急ぐ。梅雨の雲を突破する際にかなり飛行機が揺れた。家長たる僕は終始笑みを絶やさず、パニック寸前の家族をなだめ勇気づけ、何とか機を無事着陸に導いた。案じた通り、犬は顎の下の長い毛を恐怖の余りよだれでぐしょぐしょに濡らしていた。ハハハしょうがないやつだな、息子よ拭ってあげなさい、君の妹のようなものなのだから、妹のよだれの面倒くらい見られなくては良いお兄さんとは言えないだろ?そう言いながら僕も自分の顎の下の冷や汗を拭う。しばらくしてコツンと固い僕のケータイがないことに気付く。あれあれないよないよボクのコツン。血相というものを変えて空港内を走り回っていたら制服姿の男女がにこやかに僕を呼び止めて、もしやこれをお探しでしょうかとまぎれもないボクのコツンを差し出した。手品師かと思った。かたじけない。あったあった、おーいケータイだコツンだと振り返ってもそこには犬一匹見当たらなかった。
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