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recommuni四方山話

2005年03月20日

四方山話その九十二【お笑いブーム末期?】 

お笑いブームもさすがに末期かと思うのは、夜中にBGM代わりにテレビをつけるとお笑い芸人のオンパレードだからだ。それは全盛期というのではないの?と言う人もいるかもしれないが、膨らみきった風船が割れたら一瞬のうちに消えてしまうように、ブームというものはピークを過ぎたら衰退は速い。ダッコちゃん、フラフープの昔から、たまごっち、ベイブレードに至るまで、そこは変わらない。経済にもバブルの崩壊というのがあるが、人の営みとはどれも同じような経過をたどるものだなぁと思う。

こんなに毎日のようにテレビに出演していたら、ネタを考える時間も練習する時間もないではないか。もはやそこには「笑い」はなくて、面白い「はずの」人たちがいっぱいウロウロしているだけの、「笑い」の幻影、まさに中身なく膨れ上がったバブルが浮いているだけなのだ。

この四方山話シリーズにも何度も書いたが、ボクは「お笑い」が大好きだが、練られた芸としての「お笑い」が好きなのであって、適当にしゃべったりつっこんだりしているだけのバラエティー番組は好きじゃない。

ところが先日、三宅裕司氏が朝日新聞にこんなことを書いていた。

「時代はすっかりトーク中心のバラエティー番組が主流になってしまったが、それはタレント同士の真剣勝負の場でもある。」

それに勝つためには「引き出し」をたくさん用意しておくことと、他の出演者より先に話題に突っ込む「瞬発力」がだいじだとし、

「テレビでコントを作るのは難しくなってしまったが、トークバラエティーをさらに面白くする努力と工夫はまだまだ、しなくてはならない。」

とおっしゃっている。

意外だった。劇団を率いる三宅さんだから、テレビでもほんとはコントをやりたくて、バラエティーなんかイヤなんだろうなんて勝手に想像していた。失礼しました。そして、ごもっとも。三宅さんが言うように、「引き出し」と「瞬発力」を持ったタレントが真剣勝負を見せてくるようなバラエティー番組なら面白いだろう。でも、あるんでしょうか?

カンニングの竹山が、あるトーク番組に途中で乱入し、お得意の「切れキャラ」をぶちまけるが、スタジオの笑いはなく、でもそのあと「登場のしかたが完全にすべったわ」と自らの失敗を告白するとどっと笑いが起こる。近頃このパターン、いわゆる楽屋オチと言うか、失敗談や恥ずかしい話をばらして笑いをとろうとするのがすごく多い。さらにはドッキリみたいな隠し撮りやら、プライベートのメールの中身をばらしたりやら。

その笑いは、芸に感ずるほんとに楽しい笑いではなく、人の不幸を笑う、という品性下劣な笑いである。そんな笑いでもうれしいのか。芸人としてそれでいいのか。

だったら見なきゃいいじゃん、って自分でも思う。だけど気になるのだな。「爆笑オンエアバトル」あたりから初々しく登場して人気を得てきた彼ら若手芸人たちの今、そして今後が。

そして興味深いのが綾小路きみまろだ。今回のお笑いブームの初期にブレイクした彼だが、バラエティーにはほとんど登場せず、もくもくとネタを書き溜め(ているのだろう、きっと)、自分のスタイルでの漫談に徹している。このお笑いブーム終焉後も、彼はきっと変わらずやっていくんだろうな、と思う。

2005.03.20

福岡智彦

| Posted By 福 投稿日: 2005年3月20日 13時23分 更新日: 2005年3月20日 13時23分

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