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recommuni四方山話ちょっと前になるが、「スーパーサイズ・ミー」という映画を観た。Morgan Spurlockという監督が、自分の身体を実験台にして、マクドナルドで売っている食品だけで1日3食30日食べ続けると、健康にどのような影響があるかということを、検証した記録映画である。「スーパーサイズ」というのは、コーラやポテトのサイズで、bigの上の「特大」という意味だ。ボクは知らなかったが、アメリカではあるらしくて(正確には「あった」…なんとこの映画がキッカケでマックが販売をやめたらしい)、店員がこれを勧めることが多いそうだ。この実験ではスーパーサイズを勧められたらそれを断ってはいけない、という決まりもある。
ご想像の通り、この実験は身体に甚大な悪影響をおよぼした。コレステロール値が急上昇し、肝機能が低下した。複数のドクターは実験中止をなんども忠告する。
この話をしたら、ある友人が「音楽もそうだよね。売ることだけを考えた、口当たりのいい、クセになる、ファストフードみたいな音楽ばかり聴いてたら、そのうち身体悪くなるよ」と言った。なるほど、うまいこと言うね。
音楽は料理に似たところがたくさんある。ミュージシャンを素材、プロデューサーを料理人に置き換えて、「素材がよくても調理が下手だとおいしい料理にならないのと同じで、うまいミュージシャンを集めるだけじゃなく、それを活かすプロデューサーがだいじなんだ」なんて先輩によく言われたもんだ。これは、メロディを素材にアレンジをレシピなどに置き換えても同様に使える。
おいしい(耳に心地よい)ものそうでないものがあること、好き嫌いがあること、プロ、つまり職人の世界なんだけど、シロウトも参加自由であること、世界中にあり、各地の特色があること、他にも共通点はいくつもあるだろう。
もちろん例え話は万能ではなく、ほんとは解ってないのに解ったような気がしてしまうような危険性もある。似ている点がたくさんあったって、同じではないのだから、ひとつマジメに考えてみよう。
「売ることだけを考えた、口当たりのいい、クセになる、ファストフードみたいな音楽」はたしかに氾濫していると思う。さてポイントは、ファストフードばかり食べてると身体によくないように、ファストフードのような音楽ばかり聴いていると身体によくないのかどうか?
一方で、いい音楽を聴かせてあげると植物もりっぱに成長する、というような説もあるが、かと言って悪い音楽ばかり聴かせると犬が病気になった、というような話は今のところ聞いたことがない。
だけどボクは、脳というか心というか、感性には、絶対よくないと確信するね。
しかも、食べ物なら食べなきゃなんの影響もないワケだけど、音楽は違う。耳を塞がないかぎり、音は聞こえてくるのである。リッスンしなくてもヒアしちゃうのだ。テレビを見ていても、街を歩いていても、ファストミュージックは耳に飛び込んでくる。そして、時には何も意図してないのに、好きでもなんでもないのに、武富士のCM音楽なんかが頭の中で延々と反復してしまうのである。
ファストフードやコンビニのものばかり食べている若者は、ほんとにおいしいものを食べたときの感動を知らないだろう。
ファストミュージックばかり聞き流している若者は、音楽に対して感動したことがないんじゃないか?
感動というものを体験しようよ。世界が変わるから。ボクが音楽制作の仕事をしていたころの唯一の目標は、自分が感動した、あの気持ちを味わえるような音楽を生み出したいということだった。これから音楽制作をやる人もそういうことであってほしい。でないと感動できる音楽は生まれてこないから。
感動できる音楽を積極的に探してほしい。それは積極的に探すだけの価値がある。
2005.02.27
福岡智彦
コメント
音楽も制作側のまっすぐな気持みたいなものが感じられれば全然「口当たりのいい、クセになる、ファストフードみたいな音楽」でもいいんだけど、「売ることだけを考えた」っていうのがダメなんだと思いますよ。
聞いちゃいけない言葉だったようです.