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しばらく前からいつかレコメンドを書こうと思っていたのだが、つい最近ローラン・トポールの詩を歌った2枚目のアルバムを入手することが出来たので、この機に薩めぐみのアルバムを紹介してみたい。
「則天去私」と題されたこのアルバムを入手したきっかけは、確かマーキー誌のレコードレビューではなかったかと記憶する。ずっとフランスで活躍している女性シャンソン歌手、それもかなり現代的なスタイルらしい。そして何より、極めて趣のあるジャケットが印象に残っていた。
大沢類氏のライナーノーツによれば「則天去私」は薩めぐみ3枚目のアルバムらしい。70年代半ばから、当時フランスでも見捨てられようとしていた「シャンソン・リテレール(文学シャンソン)」に挑んでいたという。それは例えばプレヴェール、コクトー、ブレヒトといった1920〜30年代の歌だったりしたようだ。
アルバム「則天去私」はジャン・ボードリヤールの詩による「自殺モーテル」で幕を開ける。静かに、やや陰鬱に流れる電子楽器音に乗せて、控えめながら線の太い歌が流れてくる。
「自殺させて 自殺したいの
決してないはずだもの
死ぬには遅すぎるなんて」
この静かな孤独感はなんだろう?
ブリジット・フォンテーヌのような性急さはないし、ダミアの陰とも違う。古い歌が新しい容れ物に入れられていて、新しいのにすでに年老いている。枯れていると呼ぶには力強く、それでいて控えめだ。
夜中に一人じっと聴き入るのにとても適した音楽。