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MAL Antenna - recommuni version2004/10 | ||||||
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「ヘブライの主題による序曲」はプロコフィエフの作品群の中でも、比較的親しまれている部類に入る。クラリネットによるユーモラスな主題や、5分程度で終わる手軽さのせいだろうか。しかし、ポピュラーな曲であることと、優れた演奏であることはまた別問題だ。多くの演奏が存在するにも関わらず、決定版と言えるような快演にはなかなか出会えない。
私は90年代初頭に、突然プロコフィエフ気違いになって作品を集めまくったことがあるのだが、このレコードはそうした時期に求めたもの。当時あまり録音が出ていなかった「Quintet」が収録されていたので、若干高価だったが、いかにも古そうな、ずっしり重く分厚い中古LPを買ってみたのだ。ジャケットもクラシックものにしてはオシャレだったし。そして実際に針を落としてみて衝撃に見舞われることとなる。
クラシックに無知な私は、ミトロプーロスという指揮者の名前さえ知らなかったのだが実は有名な人だった。演奏しているのは、オケの名前から判断すると、奨学金を取った有望な学生達らしい。
それにしても、ここに収められた演奏は本当に素晴らしい。A面を占める「五重奏曲(Quintet)」は、この曲の持つ背筋がぞくっとするような怪しさを見事に表現している。90年代後半以降、録音の少なかった「五重奏曲」もあちこちで取り上げられるようになったが、どれもキレイにまとまってはいるものの、別世界に連れて行かれるような怪しさは伝わってこない。
「ヘブライの主題による序曲」にいたっては、聴きながら、思わず笑いを堪えながらのた打ち回ってしまうくらいの絶妙なユーモア感覚が爆発している。このクラリネットを一度聴いてしまうと、他の「ヘブライ」演奏全てが物足りなくなってしまうのだ。
今回アップロードするにあたって、このレコードのことをネットで調べまくったのだが、とある中古屋のカタログに載っていた以外、当時の事情などは全く分からなかった。どういう経緯で学生オーケストラのような楽団をミトロプーロスが指揮することになったのか、またそうした演奏がデッカレコードから出されたのかなどが謎として残る。どなたか詳しい方がおられれば、是非とも情報をいただきたいと思う。