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MAL Antenna - recommuni version2004/11 | ||||||
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背筋が凍りつく。戦慄の一曲である。
シャンソン歌手としては日本でも有名なバルバラ。日本でも随分レコードが発売されたバルバラ。1997年没。2004年の現在、Amazon.co.jpでもベスト盤1枚しかカタログに残っていない。収められているのは全盛期のヒット曲のみ。バルバラ50歳の頃にリリースされたこのアルバムは、未だCD化されていない。
ベストに収められた代表曲「黒い鷲」「黒い太陽」は確かに名曲だ。翳りを多分に含みつつも伸びやかな歌声が美しい。バルバラ全盛期の歌唱に違いない。一方81年リリースの「Seule」は、老いを迎え始めた芸術家の魂の呻きを感じずにはいられない、恐ろしく孤独で厳しい音楽である。
アルバム冒頭の「Seule」(邦題:夜のように)の寒さ、厳しさ、冷たさをどう表現すればいいのだろうか。ブリジット・フォンテーヌが「ラジオのように」で「世界は寒い(Il fait froid dans le monde)」と歌った時、確かに私は寒気を感じた。それが肌寒さだったとするなら、「Seule」から伝わってくるのは心臓が凍るような冷たさだ。
幽幻なシンセサイザーの響きの上に、囁くように、呻くように、呟くように歌われるこの曲は、バルバラ後期を代表するだろう絶唱だと私は思う。このような凄まじい音盤を埋もれさせておいてはいけないだろうに。